ぼくらの役割
「森のことだったり、つくっている人のことをもっと知らなきゃいけないと思っているんです。」
そう話すのは静岡県袋井市にあるCOCOCHI HIROOKA ココチヒロオカの廣岡さんと藤江さん。
森で木を切る人がいる、
家具をつくる人がいる、
その中で家具屋の役割は何か?
2021年夏 何を選択するするか、どう伝えるかを模索するお二人からお話を伺いました。
今までとこれから
時代が変わった
廣:「売りたいもの」ではなく「売れるもの」を置いていた時代もあったけど、なんのお店かわからなくなっちゃうからどんどん減らしていきました。売れている物でも「合わない」と思えば置かないようにしてます。
藤:そうそう!お店が変わったのか時代が変わったのか、僕らと考え方が近いお客さんが増えた気がするんですよね。例えばオイル塗装を希望するお客さんが増えたり。もちろんウレタン塗装もオイル塗装もどちらも良いところがあるから説明はするんだけど。
廣:時代がそうだからっていう考えじゃなくてもブレない気持ちを持っていたいですよね。新商品に関してもそう。コロナで展示会に行けなくなったけど新商品がなくても問題ないって気づいたんです。そういうお店は多いんじゃないかな。
今まで新商品を見るために行っていた展示会を、情報交換であったりに使っていきたいと思ってます。
地元で知ること
廣:木の事を勉強したいなって思って静岡で林業をしている友人のところに行ってみたんです。そしたら、針葉樹ばかり切ってるから家具で使うような木の話って全然聞かなくて。地域によって育っている木も違うし林業のやり方も違う・・・そこで勉強になることもあったけど、家具で使っている広葉樹について知るにはつくっている人たちとも繋がっていないといけない。
ぼくらの役割
記憶に残るもの
藤:なんでそれを買ったか記憶に残る事ってすごく重要だと思う。
こだわった商品があってそのこだわりってなんだったのか忘れないようにしてもらいたい。受け身になってしまうけど、僕らは作り手からいろんな情報をもらうので、できるだけ細かく伝えられたらなって思うんですよね。説明じみたらいやだけど自分達の言葉でカジュアルに渡せたらなって。
廣:木を切る人 それでモノを作るひと それを仕入れて売る人 どういう発信の仕方、繋がり方になるかわからないけどもっと繋がっていきたいと思ってるんです。
言葉にするのは難しい
廣:例えば木と暮らしの制作所さんで扱っている商品だと、別のメーカーさん、作家さんでも似たような材料扱っていて、同じようなテーブルが手に入るかも知れないですよね?
それでも「木と暮らしの制作所さんのテーブルがいい」っていうのは、モノの良し悪しだけじゃなくて、感覚で選ばせてもらってるんです。感覚ってうまく言葉にできないんですけど仕上げの雰囲気なのか、個性が出るっていうことかな?醸し出すもの・・・
今お付き合いしている他の工房さんやメーカーさんも商品だけじゃなくてそこの人たちがいいなとかコミュニケーションとりやすいなとか、共感できるなっていうのも大事だなって思ってます。
そういうところをちゃんと自分たちで言語化できるといいなって。わかりやすい言葉にするのは難しいんですけど、うちは「こういう理由で選んでいるんだ」ってちゃんと伝えられるといいなって思ってます。
お話をしてくれた人:COCOCHI HIROOKA 廣岡さん 藤江さん
書いた人:木と暮らしの制作所 松原千明
取材中の録音を聞き直してびっくり!ほとんど私が話していました・・・
取材にいったはずなのに、たくさん質問されていたのです。
それはお客さんに伝えたい気持ちがあるからこそ。
「自分達の言葉で伝えたい」という姿勢が強く感じられる時間でした。
松原千明