木と暮らしの制作所

道をつくる

道をつくる

道をつくる

2021年5月の終わり
大きな機械の音が響く木々の隙間からオレンジ色の重機がみえた。

削り取られたばかりの山肌、路面は深い轍(わだち)が残る。
伐採された木々や掘り起こされた根っこのせいか普段以上に濃い森の匂いを感じた。
燃料や作業着を積んだ小ぶりのトラックの先には出来上がったばかりの道が伸びている。

お話を伺ったのは森林組合の青木さん。
何台もの大型機械を使い分け、時にはチェーンソーで木を切りながら一人で道を作っていました。

いい道をつける

山に寄り添いながら

事前に計画は立てていても、思うようには進まないんだよ。大きな石や、岩にぶつかればよけながら、残したい木を傷つけないように・・・自然を相手に仕事をしている以上、状況に合わせて対応するしかないだよね。自然を相手にしている以上状況にあわせて対応するしかない。決められたルールに沿いながら個人の裁量で進めて行くんですよ。

木を伐り、山を削り、道をつくりながら少しずつ、山に寄り添いながら道をつけて行く。無理につけた道よりかっこいい道が出来るし、そういう道のほうが気分が上がるんだよね。

道を作るまでの準備

道をつける前に山を歩きながら測量、道となるルートに目印を残して行くんだよね今回は青とピンクのテープ。道をつけるときはこの目印にした木を目指して進んでいく。補助金とかの絡みがなくて、傾斜が少なく簡単に作れる道では測量などをせず道をつけることもあるから必ずテープを使うわけではないんだけど。

あとは持ち主の了解をもらうのが大変なところ。一つの山といっても数メートルごとに持ち主が違ってるんだよ。地図があるからだいたいはわかるんだけど、森に線が引いている訳じゃないからね。 隣同士の境界線には 境木/さかいぎ と呼ばれる木を植えることがあって、 例えば、杉やヒノキの森に尾根にそって「さわら」が並んでいるとか、 急に別の樹種が不自然に並んでいたりすると境木であることが多いかな。これは・・・境木かもしれないしそうじゃないかも笑
本人たちがわかればいいと思って植えてたり残してるだけだから他人が正確に判断できるものじゃないんだよね。

お話をしてくれた人:飛騨林業組合 フォレスター/青木さん
書いた人:家具の企画製造 木と暮らしの制作所 松原千明

67%が森林の日本
森があるから木もあるし、家具にする材料は目の前にたくさんあるけれど、問題は立っている木を丸太として運び出せるかどうか。道があって初めて木が運び出され、家具をつくることが出来るのだと実感しました。 松原千明