木と暮らしの制作所

千葉の森とつながる

千葉の森とつながる

千葉の森とつながる

「僕らの地元の木で家具が作れないでしょうか・・・」
千葉県千葉市の家具小売店CLASSICA(クラシカ)の西海知さんからそんな話をいただきました。自分達の身近な森をどうしていくべきか。考えるだけでなくそれを実践に移した西海知さんにきっかけや苦労したことなど、お話を伺いました。

きっかけは飛騨の森

きっかけは森に入ったことですね。

木と暮らしさんが企画してくれた森歩きでは座学と森歩きがセットになっていて、その時アテンドしてくれたのがヒダクマの松本さん※でした。松本さんから森の現状を伺って、実際に森を歩いたことで考え方が変わったというか広がったというか。

10年家具のことをやってきたけど、木とか森とかのことを全然知らなくて、
自分達はなにができるんだろうって考え始めたんです。

※ヒダクマの松本さん:株式会社飛騨の森でクマは踊る 共同代表者
 https://hidakuma.com/

 

千葉の木を求めて

千葉の木ってどうなってるのか、家具にすることが出来ないか自分達で動き始めると、森林組合の方たちも建材やチップ以外に木が使われるということに前向きに考えてもらえたんですよね。ありがたいことに「今ここで間伐してるよ」「来週はここで」なんて感じでリアルタイムに情報を教えてもらえて。おかげで、僕らもタイミングを見て現場にお邪魔して、木を選ばせてもらうことが出来ました。

山武杉(サンブスギ)、大径のヒノキが中心でしたが、マテバシイという細身の広葉樹もあったんです。山武杉はブランド杉で千葉は山が無いので平らな場所に植えられた素直な木で、マテバシイは漁の道具を作っていたそうですが、道具がつくられなくなった今では伐採もされていない状況だとか。今回木と暮らしさんにお願いしたのは針葉樹の山武杉とヒノキの家具でしたが、マテバシイもいつか使ってみたいなと思っています。

製材所がない!

本当は加工まですべて千葉で完結させたかったんですが、製材所が無ければ乾燥するところも加工してくれる人もなかなか見つからなくて、千葉県内での加工は断念しました。

そこで飛騨の木と暮らしの制作所さんにお願いすることになったのですが、担当の松原さんから生木の丸太を飛騨に持ってくるのは大変だから、地元で製材乾燥してくれるところを探した方がいいと言われて、改めてご製材乾燥してくれる場所を探しました。

でもやっぱり見つからなかったんです。大きなプレカット工場はあっても、丸太一本から挽いてくれるような場所はもうなくて、見つかった!と思っても昨年に閉業されていたなんてこともあって。

命懸けの運搬

結局、千葉から岐阜の飛騨高山まで自分達で丸太を持っていくことに。

森林組合の方に自社トラックに重機で積んでもらったんですが、生の木って思っている以上に重たいんですよね。トラックがグーッと沈んでびっくりしました。その沈んだトラックで峠越え・・・本当に怖かったです。

飛騨についたらどうにかトラックから丸太を引っ張り出してもらって。阿部さんと松原さんとの打ち合わせではできるだけ木肌を生かしつつ余すことなく使えるようにお願いしました。最終的には森林組合の人が丸太が転がらないようにと挟んでくれた木まで加工してもらうことになりました(笑)

一番奥がヒノキ 右手前が山武杉 左奥もヒノキ 手前にある丸太がずれ止め用の杉。のちに「きこりさんの椅子(仮)」として製品になりました。

カットラインをチョークで

暮らし

優しい空間

仕上がった商品を飛騨に取りに伺って、すごくいい仕上がりになっていて嬉しかったです。

千葉に戻ってお店に並べるとすぐに反応がありました。短く切られたきこりさんの椅子もオットマンとしてお客様が決まりましたし、ヒノキの輪切りのテーブルも山武杉のテーブルもご成約いただきました。

世の中にはまだまだ直線的な無機質なものが多くて、その中に有機的な今回作らせていただいたようなものが入ることで、空間がやさしくなるような気がするんです。そういった空間を提案していきたいなと思っています。

まだまだやりたいことはあってマテバシイを使うことや、県内で完結する家具もこれからです。

山武杉のハギ合わせテーブル

丸太をそのまま使用した印象的なサイドテーブル

話してくれた人 千葉県千葉市 トミオグループ CLASSICA 西海知さん
書いた人 木と暮らしの制作所 松原千明

山武杉を製材した時フシが少なくて、すごく大事にされてきたんだなっていうのが見ただけでわかりました。しかもびっくりするくらい褐色の杉。杉ってこんなかっこいい材だったんですね・・・!クラシカさんの動きにも注目です。

松原